感動の日の出と八ヶ岳縦走(硫黄岳~阿弥陀岳)。1
・・正三角形の巨大な山影が浮かび上がった。雲海の上には茫々たるその山しかなく、・・・手前にもその向こうにも何もない。天空に浮かぶ富士山の姿を、今見ていた。(高村薫「マークスの山」)
「空が凄いことになっとるぞ」とN森君の声で慌てて起きたら、二段ベットの枠に頭を思いっきりぶつけてました。それでも頭を擦りながら見た光景は息をのむほどの光景で、痛みを一瞬忘れてしまうほど。水平線には青から赤への帯が横一線に引かれています。赤岳展望荘21号室の窓からは、正面に秩父山系の稜線。そこには今にも太陽が昇ろうとしています。右手には、赤く染まった空に浮かぶ富士山のシルエット。ボーっとした頭の中で高村薫の本の文章が断片的に思い出されてきて、まだ夢の中にいるのかと錯覚している自分がそこにいたのでした。
八ヶ岳に行ってきました。今回の八ヶ岳は登ることの素晴らしさも去ることながら、赤岳展望荘からの日の出がまず素晴らしかったんです。八ヶ岳の主峰赤岳は標高2,899メートル。その直下の稜線上2,722メートルにある赤岳展望荘は、その名前通り展望が抜群で、しかも八ヶ岳の山小屋らしくとても快適でした。季節はもう冬です。展望荘も冬支度をするために一旦小屋を閉めます。今日が秋シーズンの営業最終日。この時期は山の天候を見極めるのが難しく、登山者の一番少ない時期です。鎖場の行列も全くなく、快適な山旅を楽しめました。
左が赤岳、右が阿弥陀岳。硫黄岳への登り。尾根上にある「赤岩ノ頭」から頂上へはもう一息。八ヶ岳を一望する景色を目の前に二人は疲れを忘れて満面の笑み。物凄く天気が良かったんです。日の光が強すぎるのと常に逆光方向から射すので、写真には辛い状況でしたが、とにかく3,000メートル級の山々が連続する感動の光景で気分がハイになります。今回はなんと言っても、一峰だけ離れた権現岳を除く、硫黄岳、横岳、赤岳、そして阿弥陀岳と、南八ヶ岳の主脈を一気に縦走する我々にはスペシャルなプラン。下の廊下に続く、「中年の技量体力を試すシリーズ」第二弾。下の廊下に参加出来なかったH場君は待ちに待ってました。そして今回は冬の八ヶ岳を見据えた山行でもあります。真っ白な南八ヶ岳の稜線は、我々初心者トレッカーの憧れです。
標高2,760メートル。まっ平らな硫黄岳頂上に到着。N森君も真っ青な空に喜びを爆発。そうか~、N森君は西穂も木曽駒も頂上まで行ってもらってなかったよなぁ。彼にとっては久しぶりのピーク・ハントだったみたいです。やはり山登りは頂上を極めることが基本。沢登りなんかをやってると、ついつい忘れてしまうんですよ。山の全ては頂上に繋がってます。とにかく気持ちいい!
右上のH場君が米粒ほどに見えます。昔、八ヶ岳は活火山だったんです。ここはその頃できた硫黄岳の爆裂帯。一気に硫黄岳の東面が吹き飛んだ跡です。その頃八ヶ岳はひとつの山で、富士山よりも高かったらしいんです。でもそれを羨んだ富士山の神様が、八ヶ岳を蹴っ飛ばして今の八ヶ岳になったと昔話で語られています。高さは富士山に譲ったものの、その多彩な山の姿と我々を受け止める懐の深さは富士山を凌ぎます。
嬉しさもピークで、爆裂帯の先端まで行こうとした二人を制止してゴメン。どんなに余裕があっても時間を気にしてる私なんです。
最大の難所の横岳を歩きます。右も左も切れ落ちた崖。ギリギリの稜線。「横岳」とはよくつけた名前で、本当に横に長いんです。いつまでも終わらない緊張の連続。こいつは疲れます。素晴らしい景色だけが我々を癒します。
地図を見ながら爆裂帯の先端に行けなかったことを悔やむN森君。ゴメンって~。右に見えているのは赤岳頂上。横岳の頂上からは一時間半の距離。疲れもピークにきてます。さあ元気を出して行きましょう。
次回は展望荘から赤岳と阿弥陀岳への登行をお伝えします。凄いです。
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