雨の日は原生の森へ。野登山。
「屋久島に行ってきました」と言いたいところです。凄い巨木なんですよ。幹から力強く出る枝の太さも凄い。縄文杉には負けますが、その存在感は野登山の「母の杉」を名乗るだけのものはあります。幹周は「鈴鹿樹林の回廊」のハリマオさんによると7メートル。樹齢は何年くらいなのでしょうか。これ見ちゃったら、もう屋久島行かなくてイイでしょう?(ちょっとオーバーですか。)
今日は鈴鹿最南部の野登山へ行ってきました。先日友人との話で野登山が話題に上ったんですが、そういえば今月の「岳人」にも取り上げられてたと思い、立ち読みに行ったんです。そしたら酷い記事で、まったく野登山の魅力が書かれてなかったんです。他所の人に鈴鹿ってこんなもんかと思われたら悔しいです。今回は、野登山の汚名を晴らすべく、私達親子は立ち上がったのでした。
その「岳人」の記事は当初、仙ヶ岳だったのを雨で野登山にしたものだったらしいんです。くしくも本日も雨天。本当は雨が野登山の実力を発揮する一番の天候なんですよ。
鈴鹿の山は、過去から交易商業の盛んだった伊勢平野に面していた為、また東海道がその南部を越えていた為、人の出入りが沢山あった山で、その殆どで人の手が入っています。現在も林業は盛んで、人工林が多いです。それでもあちこちには原生的森林が少しずつ残っています。また、山崩れなどの後に本来の植生が育ってきている二次林もたまに見ます。この野登山は殆どが植林です。麓の住人の方の生活と近く、多く人の手が入っています。また頂上にはNTTの中継施設があります。麓北側は採石で多くの部分を削り取られています。少し痛々しい山でもあります。でも頂上部には面積的には大したことはないのですが、鈴鹿でも貴重な植生を守っている森があるんです。
登山道は坂本の集落から。杉林を抜け、落ち葉の多い登山道を登ります。雑木林を過ぎて林道に出ると「夢創庵」という民家? コーヒーを飲ませてくれると聞いていましたが営業してませんでした。晴れていたら伊勢平野の大展望のはず。雰囲気のいい杉木立を歩き目の前が開けると、そこが「鶏足山野登寺」です。
野登寺の参道では沢山の大杉が迎えてくれます。高所の杉の姿は荒々しくて、生命力を感じます。その杉たちの上部は霧に消え、水墨画を見ているよう。更に奥の参道は、左には杉の美林、右には三十三体の地蔵が並びます。雰囲気はミニミニ比叡山。 今にも修験者が現れそうだと思っていると、「ゴ~ン」、寺の鐘が鳴りました。誰か登山者が鳴らしたのでしょう。鳥の声だけしか聞こえなかった山は、神々しい雰囲気になりました。神様と仏様が一体だった時代に、一瞬タイムスリップします。その後数人の登山者と挨拶。息子も勿論、鐘鳴らしまくりました。雰囲気台無し。

野登寺は「ヤトウジ」と読みます。こんな山中に、参道の大杉といい、立派な本堂とその彫刻など、相当大規模な信仰活動がされていたことを忍ばせます。
右側は雨乞い祈願に皆が訪れた「雨壷」。この寺は、これを「売り」に信者を増やしました。今も遠方から農家の方が訪れるといいます。
冒頭の「母の杉」は境内の最奥、社務所の左奥に鎮座しています。沢山の人がこの木のパワーをもらおうと近づくのか、踏跡が周辺に重なります。私も撮影に夢中になってしまい3メートルほど斜面を滑り落ちました。息子は、面白そうにこっちを見ていますが、手伝う様子なし。
しかし、この杉の枝振り、どうですか。霧の中の大木は神秘的て、自然の偉大なる力を感じます。この奥の森には更に大きな巨木があるとのこと。幹の周囲は9メートルだそうです。直ぐ近くにあるそうです。今度また探しに来ます。
頂上部の森は、ブナの原生林が広がります(かなり破壊されてます。)。三重県の天然記念物に指定されています。雨の日の標高851メートル、頂上部は雲にすっぽりと包まれ、その森は幻想的な姿を私達に見せてくれます。木々一本一本はまだまだのような気がしますが、こんなに人の生活に近いところで少しでもブナが見れることの貴重さは、何にも代え難いものだと思います。鳥の声が凄く大きく聞こえるんです。倒木には苔がびっしりと着いています。時折登山道の真ん中に倒れてるんですが、真近にそれを見ると凄く美しいんです。ベルベットのように柔らかで、綺麗です。小川の水が勢いよく流れています。山の山頂部で、これほど水が豊かな場所を見たことがありません。ただ残念なのは、寺があり、トイレもあるため、この山の水は飲めません。(三角点側は飲めるかな)
原生林の中で突然出くわす巨木。神が宿る神木でしょうか。この深い霧の森は、スターウォーズ・エピソードⅠでグンガ軍が霧の中から現れる場面を思わせます。
既に先史から雨乞いがここで行われたと言われている「鏡ヶ池」。池の端に直立した松は、人の手で植えられた形跡を伺わせます。ここから少し行ったところが、頂上三角点です。展望は木立で効かないので、その先に国見石を経て国見広場があり、そこからなら晴れていれば大展望が望めます。今日は三角点で引き返しました。
山から降りた坂本の棚田は、田植えが終わったところ。目の前に広がる水鏡に動いていく雲の陰が映ります。「棚田百選」、いつまでも続けて欲しいです。坂本の村は山間部の斜面に、離れ小島に様に佇む山村です。村の家々も美しくされていて、素敵なところです。この写真は、坂本神社の見晴台からの眺め。山での疲れを癒してくれます。ジュースの自動販売機はありません。
どうでしたか?わが町から見る野登山は、電波塔が立って、山は削られていて、とても自然が豊かには見えないのですが、なんのなんの自然の豊かな山なんです。歴史も感じられる魅力的な山なんです。普段は「当ブログを見て欲しい」とは言いませんが、今回だけは別です。ちょっとスベリながらですが頑張って写真も撮りました。是非携帯のちっこい画面でなく、パソコンのポップアップで写真も見て頂いて、鈴鹿の山の素晴らしさを少しでも分かって頂けたらと思います。「岳人」さん、是非また鈴鹿を、素晴らしい鈴鹿の山を取り上げてもらえたらと思います。
| 固定リンク

コメント