・高村薫のマークスの山を読み、「北岳から富士を見たい」と考えて5年。
・日本第2位の高峰であり、なんといっても日本アルプスで一番高いのは北岳。
・南アルプス・シリーズ。甲斐駒、仙丈の順番でいくと次は、北岳。
・そろそろ「富士山の見える山」シリーズに目玉が欲しい。
・そして息子は小学6年、来年は中一。一緒に登ってくれるのはこれが最後か。
私と息子?(笑)、たくさんの思いの詰った山、北岳。その北岳の頂上からを望む富士。雲海に浮かぶ姿は、ひときは存在感を増す。今回の山行中、空がまともに晴れたのは頂上にいた30分だけ。日本アルプスは連日天候不順。さらに太平洋上には台風も発生。そんな中、頂上を踏むタイミングにやってきた、神がかり的な晴天。積った思いが山の神に通じたのだろうか?
息子と南アルプス、北岳に行ってきました。朝一番、一瞬雲が切れて北岳の頂上が伺えました。お~、素晴らしい雄姿。しかし、・・こ、これは遠い。1日目は、標高1,529メートルの登山口・広河原から、3,193の北岳頂上直下を通りすぎて、距離で頂上から1キロ向こうの2,902北岳山荘を目指します。約1,500メートルを駆け上がる迫力の登山。最近の山は楽チン化が進んで、2,000メートルくらいまで車やロープウェイなどで行ける山が多い。でも北岳は、思い切り登って、思いっきり歩く、登山の醍醐味を満喫できるんです! ってツヨガリが出ます(笑)。一日目に歩くルート大樺沢は増水。前日までは渡渉不可だったとのこと。
芦安駐車場を朝5:10に始発のバスが出ますが、その前に出てくれる同料金の乗り合いタクシーに自動的?無理矢理?(笑)に乗せられました。バスよりスピードも出ますので、こちらの方が早く広河原に到着。でもこれに息子と私、車酔いしてしまいました。トイレも綺麗なビジターセンターでしばらく休んだのですが、寝不足と駐車場で食べたサンドイッチで、もう気持ち悪くて、バテバテ。6:00前、広河原山荘を出発、大樺沢を横に見て歩きながらも、アクビ、ため息、「ダリ~」を連発する息子。顔を見たら顔面蒼白の涙目になってました(驚)。
タカネグンナイフウロ。横向きに咲くので虫が落っこちそう。
ヒメゴヨウイチゴ。つぼみが開きかけのところにやってきた虫。イチゴっていうくらいだから美味しい?(笑)
バテバテの我々を癒してくれたのは花々。そう、北岳は高山植物の王国なのでした。8月になると花は散ってしまうと聞いてましたが、なんのなんの。行ったタイミングもあるでしょうが、6月に行った尾瀬に比べても、花の多さ、多様さは比べられないほど素晴らしい。我が鈴鹿の藤原岳もこれ程ではない。
谷筋を流れるガスが隠していましたが、尾根への取り付きでようやく全貌を現わした「北岳バットレス」。規模的に藤内壁の何倍くらいあるのだろう?上部まで何ピッチで登る?
八本歯のコルを目指すガレ場の急登からは、Dガリーが目の前。この向こう側が昨年11月に崩落した第四尾根。一時は登山道まで落石があり、通行が制限。現在も細心の注意を持って通過しなければなりません。C沢辺りで気持ちいいからって、バットレスを背にして休憩していた我々はもっての他でした(注意)。
八本歯のコルからは池山吊り尾根を行く。登ってくるのは、我々とデットヒートの地元山梨の姉さん達。ガスってなければ、右には高度感抜群のバットレス、左には間ノ岳の凄い景色のはず。今日は足元がまっ逆様に切れ落ちる恐怖感だけをお楽しみ(笑)。先行する息子、ガスの向こうは頂上だろうか?
センジュガンピ。深山に咲く花。「千手岩菲」と書く。中国由来の花から名づけられた。
ムカゴトラノオ。クローン種。北極圏にも同種が生息。無数の朝露を垂らし、美しい。
頂上直下のトラバース道は北岳屈指のお花畑が広がると聞いてましたので、のどかな登山道なのだろうと想像してたら、大間違いでした(笑)。下ノ廊下、カニのヨコバイ並みの難所が連続。しょぼい木の手すりと鎖でサポート。息子もヒヤヒヤ。写真のどこを歩く?
ここは北岳頂上部で一番風当りの強い、風衝地。冬でも雪が着かない。冬の間、雪にも守られず、強い品種だけが生き残る世界。なおさら花は美しい。
北岳山荘は南アルプスの山小屋にしてみれば、かなりましでした。混雑していると言いながら、1人一枚の布団。食事も程々。弁当はちらし寿司で合格。息子は持ってきた重いマンガを楽しむ。外は雨。夜になると窓の側だったので、風は嵐のように聞こえました。
ということで朝、天候は回復せず、ガスって視界ゼロ。楽しみにしていた間ノ岳からの大きな富士山も見れそうになかったので断念し、北岳頂上に向かい、とりあえず日本第二位の標高を踏んで、そのまま下山することに。あ~ぁ、楽しみにしていた絶景・・。がっかりでした。
元気なく頂上へ向って歩いていると、
ん? あれ?
頂上は晴れてました(爆笑)。
山ノ神は余りにしょげていた私を見かねて、強引に晴天にしてくれたようでした(笑)。サイコー! ホント、不自然なくらい突然に晴れたんです。もう有頂天になりました。息子と、そして山荘からご一緒した老夫婦と握手。他の登山者も知らない方同士で、「よかったですね」と声を掛け合っています。
「こんなに嬉しいことはない!」(どっかで聞いたセリフ)。
上左が甲斐駒ヶ岳。2,967m。2年前に登ったあの頂上から見た北岳は、まだまだ遠かった。右は仙丈ヶ岳。3033m。優美な山容に「一年ぶりやな」と声をかけたい。あの頂から見たこの北岳の頂上は間近に迫り、後ろに富士山を映した姿に憧れました。
頂上から降りた小ピークから振り返る。富士山はまた雲に消えていきそう。
頂上は台地状。真ん中でこちらを向いている男性二人。まだ、頂上を楽しんでいる。昨日もゆっくりペースだったけれど、今日は無事下山できたのだろうか。
頂上から小太郎尾根側へ降りると肩の小屋。遠方には甲斐駒が見える。予約の取り消しにも快く対応してくれた。こんなに晴れたので、ここでビールを飲みたいが、コーラで我慢。小屋前にあるベンチで富士山を眺めながら、北岳山荘の弁当を頂いた。よく酢の効いたちらし寿司が旨い。肩の小屋を出発する頃にはガスっていました。
オオハナウド。白根御池の草地に生えていました。外側の花弁が不釣合いに長くてカワイイ。
白根御池はかつての雨乞池。ここにある白根御池小屋は物凄く綺麗。私はコーヒー。息子はアップルティーを頂きました。小雨で冷えた体に旨し。ソフトクリームもある。
白根御池からはウンザリするほど長い急降下でした。ようやく大樺沢ルートと合流。見覚えのある看板。広河原まで、もう少し。
北岳への夏休み登山、生憎の天気が一転、奇跡的に頂上で晴天に恵まれ、とても思い出の深い山行となりました。北岳に思い入れが強かっただけに、雨で切り上げようと判断した時の残念な気持ちと、頂上で思いがけず晴天となり感激した気持ち、そのギャップが大きくて、オーバーに言うと、山と付き合うこと?の奥深さを改めて知ることになりました。
息子と一緒に車酔いした出発の朝、いっとき「帰ろうかな」とも考えるくらい辛くて、二人でゆっくり進んだ大樺沢の登山道。息子が、まだ青い顔をしてるのに、沢の流れを指して「この沢、エエ沢やな~」と言ったひと言、私が力づけられました。一生大樺沢のあの景色、忘れません。
息子にも私にも、とても大切な登山になりました。息子よ、天気が悪かったのにこんなに素晴らしかった北岳、いつかまた一緒に来よう。(来年?笑)
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